[農機具災害部会]

 

1.統括責任者:立身政信・(公財)岩手県予防医学協会 産業保健支援部長

 

2.研究期間  平成17年5月〜

 

3.研究協力施設および調査方法

(1)承諾を得た全国の厚生連病院から農機具災害の症例について報告を受ける。

(2)厚生連病院の医師が特別指定医となっている都道府県の共済連県本部からJA共済の生命・傷害共済事故状況報告の農作業関連事故によるものの報告を受ける。

 

4.研究目的

農機具災害による死亡はここ10年減少傾向にあるものの、平成28年は312名と300名を超えている。また、死亡事故に至らないケースは年間数万件に及ぶものと考えられる。しかし、そうした災害の届出制度は無く、全国レベルの実態は明らかになっていない。農機具災害部会は、農機具によるものを中心に農業災害の全国的発生状況を経年的に把握し、もってその対策の研究を主たる目的とする。

 

5.令和3年度研究概要

(1)農作業安全教本に係る活動

令和31126-27日、富山県にて農作業安全教本に係る検討会を開催。合わせて、トラクターの試乗、JA農機具購買担当者にトラクターの安全対策等について、聞き取りを行った。

令和4819日、東京にて農作業安全教本に係る検討会を開催。同日、JA共済連と農作業事故調査に関して意見交換および日本農業新聞と韓国の取り組みについて情報交換を行なった。


(2)その他の主な活動

令和4216日、農林水産省主催「令和4年春の農作業安全確認運動推進会議」に大浦評議員が出席。会議では、重点推進テーマとして『しめよう!シートベルト』(農業機械作業による死亡事故が多発している状況が継続しており、特に乗用型トラクターの転落・転倒による死亡事故が多くの割合を占めているため、転落・転倒時等の死亡事故を大幅に低減できるシートベルトの装着徹底を重点推進テーマとする)が示された。

同年3月、農林水産省実施「農作業安全に関するアンケート調査(シートベルト着用等調査)」の質問項目について大浦評議員が助言し、修正された。

同年3月、令和3年度JA共済連委託研究報告書「トラクターおよび草刈機事故の事故様態分析に基づく事故対策の提言について-全共連生命・傷害共済証書から抽出した農作業事故事例を用いて-」を取りまとめた。

同年4月、「作業中の蜂刺傷の実態-全共連生命・傷害共済証書より抽出した520 例について-」を取りまとめた。

同年4月、韓国農村振興庁から、農作業の啓発資料(教育・予防・運動処方等)の提供を受けた。

同年4月、JA共済連 農業・地域活動支援部 地域貢献企画管理グループから、「共済金支払データに基づく農作業事故の要因・傾向分析」(2018年度公表データ)の情報提供を受けた。今後、分析手法などについてJA共済連と部会とで協議の場を持つ予定である。


6.令和4年度計画

(1)事業方針

農作業事故防止啓発のための教材作成

全国農作業事故防止対策連絡協議会への主導的関与

農薬中毒部会と連携し、教育教材の活用推進


(2)調査研究項目と研究内容

これまで実施した農作業事故に関する調査結果を『農作業安全教本』に反映させ、令和4年度完成させる。

(3)JA共済連と連携した農作業事故未然防止策に向けた取り組み推進

JA共済連と農作業事故データ分析の検討推進。


(4)研究成果の発表等

調査研究報告書、日本農村医学会雑誌、日本農村医学会学術総会にて発表


(5)第12回日韓台合同「農作業安全シンポジウム」

日韓台合同「農作業安全シンポジウム」はコロナ禍のため、令和2年度、令和3年度休止したが、令和4年度も休止とし、来年度以降の再開を検討する。


(6)令和4年度 経費見込額 概算250万円


7.今後の活動方針

統括責任者が第23期(今期)で理事を退任するため、次期体制を検討し、令和51月の理事会に一定の方向性を提案する予定である。

今後も農林水産省、JA共済連、韓国農村振興庁など関係機関・部署と連携を図り、農作業安全対策に寄与する。

また、新しいメンバーの部会加入促進を図る。

外国人向けパンフレットの解説書などの更新は、当面は作成したメンバーが適宜更新し、後任に託したい。




   | セキュリティプライバシーポリシー著作権について
All Rights Reserved, Copyright(C) The Japanese Association of Rural Medicine